プレゼンの時間配分とスライドの枚数

プレゼンの準備などをしている人から聞かれる質問に、
「例えば1時間のプレゼンだと、
 Powerpointのスライドは何枚用意すればいいですか?」
というのがあります。


「人によって千差万別」と答えてしまうとこちらとしては非常に楽なのですが(笑)

それでは質問した人も困ってしまうと思いますので、試みに、自分の場合を話してみます。



この11月は非公表のものを含めると、
眞山が実施した(または実施予定の)プレゼンやセミナーは6件。



その中で、一番短いものは20分。

以前紹介した「先生が教えないテスト術」というものでした。

プレゼンというより、どちらかというとただのスピーチに近いものです。


20分のプレゼンで用意したスライド枚数は、
リンクをご覧いただければわかる通り、11枚。

表紙と裏表紙があるので、正味の中身が9枚ということになります。


9枚のスライドで20分話すので、前置きなどを除けば、

1スライドあたり、約2分

というのが単純計算の結果です。


 


いっぽう、今月登壇するものの中で、
最も長いセミナーが、6時間。

以前から告知している中期経営計画のセミナーです。


本編で用いるスライドの枚数は47枚。

表紙、目次、中表紙を除けば35枚です。


35枚で6時間話すので、

1スライドあたり、約10分

というのが単純計算の結果です。




あくまでも僕のケースですが、

話す時間が長ければ長いほどスライドの枚数が多いのだけれども、
「話す時間に比例してスライドが増える」かというと、そうでもない

ということになりそうです。


これには理由がいくつかあります。




理由①:スライドを使う「目的」が違う

短い時間でスライドを用いるとき、その目的は
「話さずとも視覚的にパッとわかる」ようにすることであり、
必然的に話す所要時間を短くする作用があるわけです。

したがって、スライドの文字数は少なく、フォントは大きくなりやすいし、
文字を入れないスライドを作ることもたくさんあります。

「読ませず、見せる」が、この場合のスライドの極意。


一方で、長い時間でスライドを用いるときは、
「一覧性の高いページを映しておいて、
 それを起点にしながら順序立てて説明する」
ことが多く、結果的に一つのスライドだけでじっくりと話すようになります。

この場合も文字数は少ないに越したことはありませんが、
短い時間の時よりも詳細なスライドを作ることが多いため、
時には「読ませる」スライドも入り込んだりします。


特にスライドを印刷したものが手元に配布される場合は、
みなさんがメモを取らなくていいように・・・という意味も込めて
説明文を丁寧に入れることも多いです。



理由②:「聞き手の時間」の比率が違う

長いセミナーだと、講師が一方的に話していると眠くなります。
だから聞き手に考えてもらう時間が多い。


ちなみに、中期経営計画セミナーではワークの時間を多く取って、
その都度30分くらい時間がかかるように設計しています。


皆さんが課題に取り組んでいる間はスライドをめくる必要がないので、
当然のことながら、スライド枚数が相対的に少なくなる、というわけです。



理由③:臨機応変の度合いが違う

10分そこらのプレゼンは、あらかじめ話すことが大体決まっていて、
ケースによっては何回もリハーサルをして時間まできっちり計ったりします。


ちなみに、少し余談っぽくなりますが、
今までで一番「スライド1枚当たりの時間」が短かったのが、
とある異業種交流会でのプレゼンでした。

その異業種交流会では、パーティの途中に事前に指名された数名がプレゼンするチャンスを得るわけですが、そこには

「所要時間は5分です。必ずスライドを15枚用意してきてください。なお、時間が延びるのを防ぐため、スライドは、20秒たつと強制的に進んでいきます
という非常にユニークなルールがあったのです。


1枚20秒というと、先ほどの一番短いスピーチの例よりもずっと早いペースでスライドが進むので、ほとんど文字を入れることができません。

「写真だけ」のページや、本来ならアニメーションで済ませるものをスライド2枚に分けて表現したりという「小技」を使い、そのうえで、20秒ぴったりで話し終わってちょうどいいタイミングでページが切り替わるように何度も練習しました。

セミナーの講師にとっては「正確な体内時計」というのは一つの武器でもあるので、こういった時間感覚が鍛えられる機会は非常にありがたいものです。




おっと…話を戻します。

短いプレゼンはアドリブの入り込む余地が少ないため、スライドをぎゅうぎゅうに詰め込んでも話すことができるわけですが、長いセミナーになってくると、

  • いざ始めてみると、受講生の理解度が思ったよりも高かった/低かったり、
  • セミナーの直前になってものすごくタイムリーなニュースが飛び込んできて、余談を加えざるをえなかったり、
  • 皆さんが眠そうだから急きょ休憩をとることにしたり、

…いろいろな要素を瞬時に判断しながら場をコントロールする必要がある。

極論すれば、場をコントロールするということだけを考えれば、スライドは「なければないほど」やりやすい、と言っても良いほどです。


なので、スライドの枚数は「意図的に」抑える。


慣れていない頃はそれでもスライドに頼りたくなっていたので、スライドを多めに作っておいて、時間が余った時に紹介できる「補足資料」として準備したり、ということもしていましたが、今ではあまりそういうことをやらなくなってきました。



プレゼンの所要時間と、伝えたい内容。

この2つをうまくバランスできるようにスライドを作りこんでいくと、おのずと必要な枚数は決まってくると個人的には思っています。

書く×語る×会計 眞山徳人仮設公式サイト

公認会計士、眞山徳人によるメディア。いずれ公式サイトをオープンしますが、一時的にこちらで仕事の紹介等をしていきます。