日本人の多くは「コミュニケーション」に苦手意識を持っています。
僕も駆け出しコンサルタントのころ、上司から何度も何度も「お前はスキルが高いがコミュニケーションができないからダメ」と、文字通りダメ出しを繰り返された記憶があります。
僕の場合、上司からいろいろなアドバイスを根気強くもらったり、スピーチの練習をトーストマスターズクラブ(このブログでは頻出なのでぜひ覚えておいてください)でしたり、色々な幸運が重なって苦手意識を克服することができ、いつの間にかコミュニケーションを題材にしたセミナーや研修を引き受けることができるようになりました。
コミュニケーションの苦手を克服するための方法として、「話し方教室」に通ったり「プレゼンセミナー」を受けたり・・・そういう人も決して少なくないと思いますが、おそらく、ほとんどの人はこういう結末に終わってしまいます。
教室では上手に話せるが、オフィスに戻ると結局話せない
そうなんです。
優しく指導しているインストラクターが隣にいれば、自分のつたない話やジェスチャーも受け入れてもらえるわけですが、生のビジネスシーンではそうとは限らない。
…結局、どんなに教室に通ってテクニックを身に着けても、それを発揮できるような場がない、ということは往々にしてあるものです。
でも一方で、こんなことはありませんか?
オフィスでは上手く話せないが、友達といるときは全然平気。
そう、気の知れた友達同士ならトレーニングをしなくても会話は十分成立しますよね。
本当に会話が苦手な、例えばすこし「どもり」があるような方でも、それを含めた自分のことを理解してくれている人が一緒にいるのであれば、会話への抵抗感はぐっと和らぐはず。
友達だけではありません。
会議でも、コミュニケーションを取りやすい時とそうでない時があります。
<人の要因>
・その会議にムードメーカーがいる
・その会議に仲の良い同僚がいる
<場の要因>
・会議室が明るい雰囲気である(照明や観葉植物、景色など)
・会議の前に雑談タイムがちょっとだけあった
・休憩中に少しフランクな会話をした
ちょっとした要因で、私たちのコミュニケーションのハードルは、下がるのです。
…そして、もう一つ気が付いてほしいのが、
上記のコミュニケーションの要因の多くは、「自分でコントロールできる」ということ。
コミュニケーション能力がなかなか上がらない、あるいは、コミュニケーション能力を高めようといろいろ試行錯誤しているのに成果が出ない、という方は、少し目線を変えて、
コミュニケーション環境
を整えることを考えるのも、一つの方法です。
実は話し方が上手いとされる人たちの多くは、
「話す前から」自分が話しやすい空気を、作ることができます。
気の利いたセミナー講師は、何を話すか?と同じくらい、
その「空気づくり」に腐心します。
そして、
リンカーン、キング牧師、スティーブ・ジョブズ・・・
アメリカに名演説がたくさん生まれるのは、彼らのスキルもさることながら、
実は聞いている人たちのリアクションが明快で気持ちよく話せるという、
コミュニケーションの「場」がしっかり整っていることも、一つの要因です。
コミュニケーション能力が向上しない、と嘆いている方は、
少し考え方を変えて、コミュニケーション環境を少し、変える工夫をしてみると、
面白いほどあっさりとコミュニケーションが円滑になったりします。
何をすればいいか?も固く考える必要はありません。
要するに相手との距離を縮められればいいのですから、
- 会議室にお菓子を持って行って配ってみる
- まずお互いの名前を憶えあい、その名前をできるだけ何度も呼ぶ
- 相手の話を聞くときはできるだけアイコンタクトし、
できるだけ「声を出しながら」相槌をうつ
(あぁ・いいね・うんうん・えっ!・お~、の「あいうえお」で十分です) - ちょっとだけ共同作業をする
(テーブルの並べ替え、ホチキス止め、などを一緒にやりながらだと、
意外と雑談は)
と、自分が話しやすい空気を作る方法は、結構たくさんあるものです。
そしてこれらの工夫は、
実は「自分が」話しやすいだけではなく、
「誰もが」話しやすい空気を作ることになります。
すなわち、その会議全体のパフォーマンスにもいい影響を与えるのです。
ちなみに、これは言うまでもないことですが
会議全体のパフォーマンスに重要な役割を持っているのが、「上司」です。
その場の一番偉い人のちょっとした態度が、会議のパフォーマンスに
「悪い影響」を与えることも、無きにしも非ず。
コミュニケーション環境を整えるのは、
実は第一義的にはリーダーの役割だと僕は思っています。
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