今月はたくさんのセミナーに呼んでいただいています。
(セミナーの告知は毎月1日に行っています)
セミナーの長さはその都度まちまちで、
1~2時間で終わるカジュアルなものから、数日がかりの骨太なものまで、
セミナーの対象者も子供から経営層まで様々です。
どのセミナーでも、言うまでもなく事前準備をしっかりして、
体調も整えて万全を期して臨むわけですが、
それでも緊張するのが「質疑応答」の時間です。
講師の方によって考え方は違うかもしれませんが、
自分自身が講師を務めるとき、質疑応答の時間はセミナーの中でも
たとえ時間が短かったとしても、非常に重要な意味を持っていると考えています。
理由は3つあります。
理由1 質疑応答がセミナーの後味を決めるから
ほとんどの場合、質疑応答はセミナーの最後にやるものです。
質疑応答での受け答えは、そのままセミナーの後味として受講者に残ります。
本題の部分でどんなに用意周到に進行できたとしても、
質疑応答でボロを出してしまうことは決して珍しくありません。
理由2 質問はセミナーのフィードバックでもあるから
受講者の方が大勢の前で、勇気を出して手を挙げてまで質問するとき、
そこには「動機」があります。
・セミナーの内容がよくわからなかったから、もう一度教えてほしい
・セミナーの内容をより深く(例えば自分に当てはめてみて)聞きたい
・セミナーの内容はもとより、講師に興味を持った
受講者がどんな質問をくれたか?ということが、間接的に、
セミナーや講師に対してどのような印象をもったか?ということを
こちらに教えてくれるわけです。
ちなみに、
個人的にワーストなのが「質問者が誰もいない」ということ。
質問をしてくれるということは、受講者の方が少なくとも内容に興味を持ち、
もっと知りたいと考えてくれている証でもある。
裏を返せば、質問をもらえないようなセミナーは
そういった興味をひきつける魅力を持っていないということになります。
もちろん、セミナーの内容によっては公の場で質問するよりも
あとで個別に相談に乗りたい・・・というケースはありますので、
そういう場合には講師の方から
「しばらく会場にいますので、個別にご質問ください」と
言うようにしています。
理由3 自分が丸裸にされるから
最後にして最大の理由がこれ。
セミナーの後味、という1つ目の理由にも似ていますが、
質疑応答の時間だけはどんなに準備しても準備しきれない面があるのです。
例えば会計のセミナーをやっていれば、
「おそらくこういう質問が来るだろう」という想定問答は
あらかじめ準備していくものです・・・が、
そういった想定問答はあくまでも会計に関連したものに限られていたりします。
しかし、時として会計の範囲を逸脱した質問もあります。
例えば・・・
「コスト削減にあたって、まずは現状をしっかり把握しようという話はよく分かりました。でも弊社の場合原因は明らかで、燃料の値段がどんどん上がっている。これはもうどうしようもないんでしょうか?原油の相場はこれからも上がり続けると思った方が良いのでしょうか?」
これはもはや会計の領域を超えて、世界経済の動向のような、あるいは相場師のカンのようなものを問われている質問です。
しかし、実は講師の真価が問われるのはこういう時だと僕は思っているのです。
・「会計バカ」ではなく周辺領域のことも知っているか
・領域外の質問に対しても真摯に答えてくれるか
・万一、聞かれたことの答えを「知らない」場合、どう対応するのか
これらはいわば、講師としての資質や習慣を試されている質問でもあります。
こういった質問に動じずにいられるようになるためには、
日ごろから豊富なインプットを続けることと、
真摯な人格を磨き続けること・・・くらいしか方法はない。
「講師は一日にしてならず」だな、とつくづく思います。
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